夏休みを日本で過ごしていたため、アトリエもしばらくお休みしていました。こちらの新学期でもある9月からは再出発のつもりでまた頑張りたいと思っていますので、よろしくお願いします。

 夫と私は8月22日夕方、無事パリの我が家に帰って来ました。家を長期に空ける時にいつも気を使うのは泥棒と植木です。タイマーで夜になると電気が点く様にしていますが、ドアを開け中を見るまではちょっと心配なものです。幸い今回も入られずにすみ、友人に頼んであったお陰で植木も元気でした。

 しかし今年は、留守中の「猛暑」というアクシデントがありましたから、廊下に積んである何百本というワインに、どのような影響があったか心配が残っています。しかし、こればかりは飲んでみなくては判らず、これから徐々に判明していくでしょう。被害が少ない事を祈っています。冷蔵庫が故障していないか、という心配もありましたが、無事でした。

 この夏は、異例の「東京で避暑」となりましたが、フランスは大変な事になっています。皆様も既にご存知のように、多くの犠牲者が出ています。日本では「3000人」と報道されていましたが、今こちらのニュースでは一万人を越すのではないかと言っています。全ての人が直接「暑さのせい」かどうかは確認されていないようですが。

 今現在の問題点は、遺体置き場の不足です。ランジス市場(築地市場のような所)の冷蔵倉庫や、病院の中庭に置かれた冷蔵車(トラック)に遺体を安置しているそうです。引き取り手のいない遺体(ひとり暮しの老人等)がパリ市だけでも数百あって、家族を探しています。葬儀屋もフル回転していますが、全く足りず困っている状態です。今でも土葬の国ですから、余計に大変なのではないかと思います。

 私達が到着してからは、さわやかで気持ちの良い日が続き、なんてラッキーな夏休みだったのだろうと、我ながら感心しています。日本では5回位しか見られなかった「太陽」も毎日ほどよく出て、やっと「夏」を感じています。

 この夏は、異常気象のお陰(?)で誰もが「環境問題」という言葉を思い出したのではないでしょうか。私達も、更に真面目に環境問題に取り組んで行かなくては、と意を新たにしています。

 9月にもう一度熱波が来る、という噂もあります。あまりひどくならない事を願っています。

 2003年8月25日 ≪アトリエ・イグレック≫ 石村幸枝