先日、鮭をハーブ塩で塩鮭風にして、香ばしく焼いて食べました。もちろんビオの鮭です。焼いた後の網を洗っていてフトした事を思い出しました。私が住んでいるアパートの管理人(マダム)は、とても働き者で賢い人です。更にお料理が上手そうで、時折、鰯や鯖がこんがり焼けたような香りが漂ってきます。
 ある朝、朝市で魚を買って帰って来た所「今日は何の魚が良かった?」と聞かれたので、「今日は鰯がとても新鮮でしたよ」と言うと「鰯はあまり好きじゃないわ! 我が家では鮭を一番食べるの」との事。「そうですか。でも小さい魚の方が身体に良いですよ!」等と食物連鎖の話をしました。私の健康関連の話は、いつも興味を持って聞いてくれるので……
 網を洗っていて思い出したのは、「鰯の香りが漂っていたのに、鮭を焼いていた(おそらく)」事なのです。以前にも似たような話がありました。友人が「この間卵焼きを作ったら、生臭くって食べられなかったの。鰯の様な臭いで……」と言い、続けて「おそらく飼料に鰯を使っているのね。もう安い卵は買わないわ!」と言っていました。
 卵を焼いても鮭を焼いても同じような臭いがするというのは、おかしな話です。ビオ鮭の場合、焼いている時も残った油からもそのような臭いはしません。あの臭いの差には、私たちが知らない何かが隠されているのではないでしょうか? 処分に困った「モノ」を飼料に加工して使っているという話を、テレビで見たことがありますし、狂牛病が広がった原因も飼料だというのは有名な話です。
 私が一番恐いと思うのは、鰯臭い鮭を普通と思って食べている人が多い事なのです。鮭に限った話ではありません。その物自体の味が分からない人が増えています。それが加工品ではなく素材その物の味なのですから、これは大変な問題だと思います。野菜や魚、肉には含有物の表示がないので、何が含まれているか分かりません。確かな物を手に入れるためには、ABマークなどが付いた製品を買うしかないのです。ビオの表示を信じられない、という人も多いようですが、ビオ表示の無いものはもっと信じられないのではないでしょうか。
 次回マダムにこの事を話してみようと思っています。ビオ鮭はさすがに高いので、ラベル・ルージュの鮭をお勧めしようと思っています。

 *cLabel rouge[ラベル・ルージュ] オーガニックではありませんが、細かく厳しい規則を守って作らなくてはならず、その品質が国によって保証されています。肉、魚、卵、ソーセージ、野菜、フルーツなど約500種類の農・畜産物に付けられていますので、お買い物の時に探してみてください。

2009年4月 石村幸枝 ≪http://mapage.noos.fr/atelier-y≫