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旅行記 キブロン編 その前に


 フランスの学校は、年に5回のヴァカンスがあります。
(1)10月末 Toussaint[トゥッサン](万聖節)休暇 約1週間
(2)年末年始 Noël[ノエル](クリスマス)休暇 約2週間
(3)2月 冬休み 約2週間(夫の学校は1週間だけ)
(4)4月 春休み 約2週間
(5)7〜8月 夏休み 約2ヶ月

 高校教師の夫にも年に5回のヴァカンスがあります。休暇中は学校に行く義務も無く、遊ぼうと思えば丸々遊ぶ事が出来ますが、夫の場合、半分は仕事をしています。
 今回の旅行記は、ブルターニュの小さな半島の町Quiberon[キブロン]に滞在した時のもので、その@は、2003年10月のトゥッサン休暇、そのAは、2005年4月の春休みです。


旅行記 キブロン編 その@ 


 10月25日12時05分パリ・モンパルナス駅発のTGV[テージェーヴェー](新幹線)に乗り(写真は数分後)約3時間半。Auray[オーレイ]駅で下車し、更にキブロン行きのバスに乗り1時間弱。と、普通はバスなのですが、今回はタクシーの相乗りに誘われ、30分弱でキブロンに到着しました。
 キブロンでのヴァカンスは今回で7回目。ここに別荘を持っている友人夫妻から、魚介類が美味しくとても良い所だと聞き、来始めたのが6年前の事です。常宿はキッチン付きのホテルで、いつも醤油、わさび、刺身用の包丁等を持参します。
 ホテルに荷物を置き、まずは海岸へ。先程タクシーに相乗りした若者が乗っているBelle-Ile[ベルイル]行きのフェリーを見送り、のんびり散歩し、いつものカフェで一休み。ワンちゃんは熟睡中。海で遊んできたのか身体が濡れています。偶然通りかかった友人夫妻も一緒に乾杯。
 ヴァカンスの度に来ている彼等は、キブロンの事なら何でも知っています。「このレストランの経営者は、あっちのレストランのマダムと云々カンカンで、今はどうのこうの……」という具合です。そして私達もちょっと有名なのだそうで「あの日本人、今回は来ないのか?」といつも聞かれるそうです。地元の人と挨拶を交わしながら散歩をする「日本人」は珍しいようです。
 日が暮れ、寒くなってきたのでホテルに戻りましたが、今日は買い物もしてないので、晩はレストラン「サフラン」へ。このレストランも経営者が変わり、以前「あっちのレストラン」で料理をしていた人が始めたのだと友人から聞きました。





















 26日(日)晴天。今日はCôte Sauvage[コットゥ・ソヴァージュ]自然なままの海岸を散歩することに。ホテルから海岸に向う途中、カルナックの巨石群と同じような石がいくつかありますが、いつ何の為に立てられたのかは分かっていません。
 遠くに海が見えてきました。ベルイル(島)もハッキリ見えます。岩場も家族連れでにぎわっていますが、この辺りは海が荒れると何メートルもの高波で隠れてしまう危険な場所です。
 コットゥソヴァージュと港側の境界に20世紀初頭に建てられた、奇妙なお城があります。ここは個人宅なので見学などはできませんが、いったいどんな人が住んでるのでしょう。
 お城を通り過ぎ、少し歩くとPort Maria[ポール・マリア]マリア港です。まず漁港とLa criée[ラ・クリエ]河岸がありますが、2001年からこの河岸も近代化され、大声を張り上げる風景は見られなくなったそうです。
 漁港の向こうがフェリーの船着き場です。港には防波堤がある為、直角に曲がって入港し、またすぐに直角に曲がって船着き場に着くのですが、軽自動車のような舵さばきにはいつも感心させられます。
 4km程歩き、ようやくカフェが並ぶ所にたどり着いたので一服。友人達を呼び一緒に地ビールを飲みました。「あのパン屋の女将さんは、カジノに狂って云々カンカン」楽しいひとときです。

 夕食は、午前中に街の魚屋で買ったSt.Pierre[サンピエール]まと鯛のローストとLangoustines[ラングスティンヌ]手長エビのニンニクオリーブオイル炒めです。買った時にはまだ生きていた手長エビは、身がプリッとしていて美味。

 27日(月曜日)。午前中から頑張って、マリア港の先にある魚屋「ラ・クリエ」(黄色がかわいい)まで行きました。月曜日はあまり漁が無いのですが、幸い今日釣れたスズキが私達を待っていてくれました。まだ死後硬直の状態です。このまますぐにお刺身にしても味が無く、3枚に下ろして夜まで待つと丁度美味しくなります。
 魚屋を出ると「ポニーのおばあちゃん」が歩いていました。何年か前に見かけた時には、ポニーに乗り、ロバを引き連れて闊歩していたのですが。
 夕食は、甘みまで感じるスズキの薄造りに、持参の最高のお醤油、いつものCave[キャヴ]酒屋で買ったロワール地方のスパークリングワインで大満足。  

 28日(火曜日)。友人宅で昼食。古い小さな家を買い、きれいに改装した素敵な別荘です。
 食事は生牡蠣から始まるフルコース。もちろん美味しいワインもたっぷり飲みました。
 食事の後は海岸まで散歩。カジノでちょっと遊び、帰る頃にはもう落日。楽しい一日の最後に、こんなにきれいな夕日が見られるなんて、ラッキーです。「明日も晴れますように……」


 30日(木曜日)。今晩は友人達が食事に来ます。毎回一度は招待し、お刺身をご馳走するのがキブロンでの行事となっています。


 午前中に魚屋「ラ・クリエ」へ。とてもきれいな鯛があったので、鯛の刺身に決定。しかしちょっと横を見ると鯖もすばらしく、慣れない人に出すのは冒険ですが、シメサバも作る事にしました。
 お箸を使うのは苦手な友人達(3人中一人は割と上手)ですが、もし上手に使っていたら5分で無くなっていたのでは、という勢いでお刺身が減っていきました。シメサバも美味しく食べてもらい一安心。
 この後、肉や野菜を和風に調理したもの、デザートを食べ、ワインの効果もあり、楽しい会話が続きました。最終的に7本の空瓶が並んでいました。

 31日(金曜日)。今日は朝から嵐のような天気です。のんびり昨晩の片付けをして、雨が上がった夕方、一人でぶらりと散歩に出かけました。
 荒れた海と空はとてもきれいですが、こんな日に船には乗らない方が良さそうです。写真よりも傾いていました。
 今日はハローウィンなので、変装した子供達がキャンディーをもらいにお店に入ってきます。
 角を付けたワンちゃんも出現。


 11月1日最終日。ホテルをチェックアウトし週一度の朝市へ。ウワット島で捕れた蟹に惹かれますが、活きているままパリまで持って行くのは難しいので、今日は見るだけです。




 最後にもう一度海岸を散歩し、秋の海に別れを告げ、昼食後バスに乗りオーレイ駅へ。
 帰りのTGVはヴァカンス帰りの子供でにぎわっていました。近くの子供達に折り紙を折ってあげ、とても喜んでもらい、ハイポーズ。時間の経つのも忘れパリに到着。最後まで楽しいヴァカンスでした。



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