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旅行記 蜜蜂編 その3


 バロ・フリュランに戻りしばらくすると、もう出発の時間になってしまいました。ルルド発6時のバスに間に合うように行かなくてはなりません。(庭で撮った写真−マルハナバチ)
 カトリーヌと秋にパリで会う約束をし、ライットゥ・トゥピエールを後にしました。途中、のろのろ運転のトラックの後ろになってしまい、このままではバスに間に合わない、と気をもみましたが、なんとピッタリ6時にルルド駅前に到着。ダニエルにお礼を言う間もなく、バスに飛び乗りました。
 1分もしない内に発車。バスはいくつかの町を通り、また山へ山へと入って行きます。
 ルルド、蜜蜂、バロ・フリュランの人達、色々な出会いと体験。長くて楽しい一日でした。BIO関係で働いている人には、優しい人が多いことはパリでも感じていましたが、今日も然り。
 そして、公害の無い土地で、化学薬品を使わない、蜜蜂に砂糖を与えない等と言う事は、彼らにとっては当たり前の事なのです。蜜蜂に対する愛情を、感じ取る事ができました。
 さて、私が気になっていた「砂糖」についてですが、日本の養蜂関係の本に「冬季、花が無い時期には、砂糖を与える」とありました。しかしバロ・フリュランでは、「冬を越せるだけのハチミツを巣に残しておく」ので砂糖を与える必要はなく、もし、蜜蜂の食糧が足りないと判断した時には、「砂糖ではなくハチミツを与える」との事でした。お返しすると言った方が正しいかもしれません。
 あれこれ考えている内にコトゥレに到着。小雨が降っています。下界はあんなに良い天気だったのに。
 明日はタクシーを予約して、Pont d'Espagne [ポン・デスパーニュ](スペイン橋)という所まで行く予定です。

 15日。晴天とは言えませんが、強い日差しが苦手な我が夫にはちょうど良い散歩日和です。
 ポン・デスパーニュにはその名の通りの橋があります。昔は、スペイン国境まで約10kmのこの橋辺りで、スペイン人とフランス人の交流・商談等があったと、タクシーの運転手さんが言っていました。
 落差の大きいギャヴが2本流れ込み、更にまたすぐ滝となリ、それは素晴らしい景色です。

 ノルディックスキーのコースがいくつもあり、夏はハイキングや散歩が楽しめます。この日もスキーやソリを持って行く人に会いましたが、高い所まで行けばまだ雪が残っているのでしょう。

 お昼前は、太陽が出たり隠れたり、気温も調度良く気持ちの良い散歩ができました。
 昼食の後はギャヴのすぐ脇の道を歩く事に。しばらく行くとだんだん霧が出てきて、先程きれいに見えていたスペイン方面の山が見えなくなってきました。道には結構雪も残っています。

 ギャヴに手を入れてみました。雪解け水なのでしょう。ギョッとする程冷たい水です。
 帰り道を歩き始めると、霧が益々下りて来て、幻想の世界に迷い込んでしまったかのようでした。
 たった3時間の滞在中に、晴れ、小雨、曇り、濃霧と色々な顔を見せてくれました。どんな天気になっても気持ちが良く、何度立ち止まって深呼吸をしたことか……
 タクシーが迎えに来てくれる駐車場までは、ポン・デスパーニュから15分程の下り道です。滝のすぐ横の細い道を選び、急流を真下に見ながら「下山」という雰囲気。
 車に乗り、5分も下るともう霧は無く、普通の曇り空になりました。

 コトゥレの町に戻り一休みし、ミニ養蜂箱を見にブティックへ。ダニエルに昨日のお礼を言い、その後はしばらく蜂達を見ていました。巣房に蜜がたくさん貯まっています。「2-3ニチデコンナニハタライタノデスカ?」ちょっと感動しました。(ストロボを使えなかったので、写真はありません。)
 蜂は体重82mgという小さい体で、1度に75mgの花蜜を運ぶ事ができますが、75mgの花蜜を集めるには、クローバーで1000〜1500の花を訪れなくてはならないのです。
 ここの蜂達ともこれでお別れです。明日はパリに戻らなくてはなりません。でも、またきっと来ます。温泉にも入りたいし、ハイキングもしたいし…… バロ・フリュランの養蜂箱がここの山に置かれている時季に来ましょう。

 翌日、9時55分発のバスに乗り山を下り、11時22分ルルド発のTGVで帰路に。予定より30分程遅れて18時にモンパルナス駅に到着しました。


 パリは大好きですが、空気の悪さが気になります。
 たまにルルドの水を飲み、写真を見ながら、山の空気を思い出し、ギャヴの音を思い出し、ゆっくり深呼吸。



おわり


≪動物好きの皆さんへおまけの写真≫


 名犬ジョリーには会えなかったけれど、タンポポがたくさん咲いている急な坂を、元気に走り回る、生後4ヶ月のハスキー犬と仲良しになりました。

 ちょっと呼んだら、走って来て、私の顔を「ぺろぺろぺろぺろ」もう大変。





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